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Excel 管理・運用の限界を示す11のサイン

2024.10.31
#脱 Excel
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代表取締役 CEO入田 隆

はじめに

業務効率化のために Excel で管理・運用を始めたものの、いつの間にか非効率化を招く要因になるケースが多々あります。

しかし、日々の業務に追われていると、Excel 管理・運用の問題は、意外と見過ごされがちです。また、業務全体が複雑化すると、Excel 管理・運用の問題の発見も難しくなります

そこで、本記事では Excel 管理・運用の限界を予兆するサインを解説します。問題の早期発見のキッカケになれば幸いです。

全体像:Excel 管理・運用の限界サイン

Excel 管理・運用の限界は、以下の観点と具体的なサインで現れます。

観点 限界を示す具体的なサイン
業務効率 ・転記・集計・照合作業に膨大な時間を取られている
・ミスやモレが頻発している
・他システムとの連携ができず、手作業が増えている
データ管理 ・Excel ファイルが乱立し、最新データがわからない
・データが散乱し、十分な分析ができない
属人化 ・Excel ファイルが複雑化し、特定の担当者しか操作・改修できない
・引き継ぎが不十分で、Excel ファイルがブラックボックス化
アクセシビリティ ・複数部署の Excel ファイルを 1 つに集約するのに、苦労している
・Excel ファイル更新・確認の都度、メールや電話をしている
パフォーマンス ・Excel ファイルが肥大化し、処理に時間がかかっている
内部統制 ・細かいアクセス管理や権限設定ができない

上記について、それぞれ具体的に解説します。

業務効率の限界サイン

転記・集計・照合作業に膨大な時間を取られている

Excel 管理・運用のよくある限界サインは、以下のような転記・集計・照合作業に多くの時間を費やしていることです。

  • 他部署から受け取った Excel データの転記作業
  • 複数の Excel ファイルからデータを集計する作業
  • 転記ミスがないか確認する照合作業
  • 集計結果を再確認する作業

例えば、データの更新のたびに、別の Excel ファイルからの転記作業が発生。さらに、月次報告の際は複数メンバーの Excel データを 1 つにまとめ、転記ミスがないか 1 つ 1 つ確認している場合もあるでしょう。

このような作業工数は、本来の業務に充てるべき時間を圧迫し、部門全体の生産性低下を招くため、危険信号といえます。

ミスやモレが頻発している

Excel 管理・運用が限界を迎えると、以下のようなヒューマンエラーが日常的に発生しています。

  • データの入力ミスや転記ミス
  • セルの参照設定の誤り
  • 古いデータの更新モレ
  • 集計漏れや重複カウント
  • ...

例えば、複数の Excel ファイル間でデータをコピー&ペーストする際に入力ミスが発生。さらに、集計用の Excel ファイルでは、計算式やセルの参照設定が誤っていることに、提出後に気付くケースもあるでしょう。

このようなミスやモレは、重大な意思決定の判断ミスを引き起こすリスクがあり、業務の信頼性が低下。さらに、修正作業により組織全体の生産性も損なわれるため、要注意のサインです。

他システムとの連携ができず、手作業が増えている

社内外のシステムと Excel で連携ができず、以下のような手作業を強いられ、日々の業務時間の大半を占めている場合、Excel 管理・運用は限界に近づいています。

  • 他システムと Excel 間のデータ転記作業
  • 他システムに csv インポートするため、Excel データを加工
  • 他システムと Excel 間のデータ整合性チェック
  • ...

このような手作業による他システムと Excel の連携作業は、本来注力すべき業務時間を奪う上に、ヒューマンエラーの要因にもなるため、脱 Excel の合図といえます。

データ管理の限界サイン

Excel ファイルが乱立し、最新データがわからない

以下のように Excel ファイルの最新データがわからない場合、限界のシグナルと言えます。

  • 同じような Excel ファイルが複数存在
  • どのファイルが最新版か判断できない
  • 更新・変更履歴が不明確
  • ファイルの保存場所がバラバラ
  • ...

例えば、メンバーごとに独自の Excel ファイルを作成・更新している場合、どのファイルが最新か把握が困難です。また、共有フォルダに似たような Excel ファイルが複数存在する場合、その違いを確認する作業が日々発生します。

Excel ファイルの乱立は、データの一貫性を損ない、重要な意思決定の判断を誤らせるリスクを高めています。また、Excel ファイルを管理・整理・確認する作業も新たな負担となり、生産性低下の要因になるでしょう。

データが散乱し、十分な分析ができない

複数の Excel ファイルにデータが散在し、以下のようにデータ分析に支障をきたしている状況であれば、限界に近づいているサインとなります。

  • 必要なデータの所在が不明確
  • 所望のデータが管理されているか不明
  • データの定義や粒度が統一されていない
  • 過去データの所在や範囲が把握できない
  • ...

例えば、業務改善や事業改善のために必要なデータを把握できず、適切な改善策を打ち出せない状況が続きます。

このように、分析の妨げとなるデータの散在は、データ活用の機会損失を招き、結果として意思決定の質を低下させます。

属人化の限界サイン

Excel ファイルが複雑化し、特定の担当者しか操作・改修できない

Excelファイルが複雑化し、以下のように特定の担当者への依存が強まっている状況は、限界のサインとなります。

  • 一部の人しか扱えない複雑な関数やマクロが多用されている
  • 計算ロジックが複雑で、作成者以外が理解できない
  • シートやファイル間の参照が複雑で、全体像の把握が難しい
  • ...

例えば、長年かけて複雑な改修を重ねると、いつの間にか作成者しか全体を把握できず、他の担当者は簡単な操作・改善さえできない状況に陥りやすいです。

このような属人化は、必要な Excel ファイルの改修や運用変更ができない状況を生み、事業成長の足枷になるため、要注意です。

引き継ぎが不十分で、Excel ファイルがブラックボックス化

よくある限界のサインとして、Excel 管理・運用のブラックボックス化が挙げられます。

  • 計算ロジックの意図や背景が不明確
  • データの定義や更新ルールが曖昧
  • 作成者が退職し、仕様を理解している人がいない
  • 操作手順が暗黙知化している
  • ...

例えば、担当者の異動や退職により引き継ぎが不十分なまま運用を続けると、誰も Excel ファイルの全体像を把握できず、トラブルや改善要望に対応できない状態が続きます。

このようなブラックボックス化は、改修や運用変更ができない状況を生み、業務改善の機会損失を招くでしょう。

アクセシビリティの限界サイン

複数部署の Excel ファイルを1つに集約するのに、苦労している

Excel 管理・運用で、以下のように部署間の Excel ファイル収集に苦労している状況は、限界のサインになります。

  • 必要なデータが複数部署の Excel に分散している
  • 各部署への依頼と催促に時間がかかる
  • リマインドや進捗確認の手間がかかる
  • ...

例えば、各部署から Excel ファイルを収集した後に集計業務する場合、最後の部署が提出するまで次の工程に進めず、業務が停滞する状況が続きます。

このような一元管理できていない情報収集の仕組みは、余計な管理工数が発生。さらに、提出完了まで次の業務に進めないため、全体の業務効率を低下させます。

Excel ファイル更新・確認の都度、メールや電話をしている

Excel ファイル更新・確認で、メールや電話が多発している状況は、限界の証拠です。

  • 最新データを確認する連絡が毎回必要
  • メールの見落としで古いデータを使用してしまう
  • コミュニケーションが行き違い、データの認識違いが発生
  • ...

このように、データが部門ごとに分断されて管理されている状態は、余計なコミュニケーションが必要になるため、スムーズな業務を阻害する上、ヒューマンエラーの温床にもなります。

パフォーマンスの限界サイン

Excel ファイルが肥大化し、処理に時間がかかっている

Excel ファイルが重くなり、以下のような状況が発生している場合は、限界のサインです。

  • ファイルの起動に時間がかかる
  • 保存の度にフリーズする
  • 集計処理が極端に遅い
  • 動作が不安定になる
  • ...

例えば、大量のデータを処理する際、計算や更新に数分かかり、その間は他の作業ができない状況が続きます。

このような処理速度の低下は、作業の中断が頻発。さらに、ファイルが破損して復旧できなくなるリスクも抱えている状態です。

内部統制の限界サイン

細かいアクセス管理や権限設定ができず、業務に支障が出ている

Excel ファイルの権限管理において、以下のような細かな制御ができない状況は、限界のサインです。

  • ユーザーごとに異なる権限設定ができない
  • 特定のデータに対する部分的な編集権限の設定が難しい
  • 誰がいつデータを変更したかの履歴が残せない
  • 変更履歴の追跡や特定バージョンへの復元が困難
  • ...

例えば、特定のユーザーには参照のみ、別のユーザーには編集も可能、といった柔軟な権限設定ができないため、重要なデータの管理に不安が残ります。

このような権限管理の制約は、データの機密性や完全性を保つ上で大きなリスクとなるでしょう。

おわりに

本記事では、Excel 管理・運用における11の限界サインについて解説しました。

観点 限界を示す具体的なサイン
業務効率 ・転記・集計・照合作業に膨大な時間を取られている
・ミスやモレが頻発している
・他システムとの連携ができず、手作業が増えている
データ管理 ・Excel ファイルが乱立し、最新データがわからない
・データが散乱し、十分な分析ができない
属人化 ・Excel ファイルが複雑化し、特定の担当者しか操作・改修できない
・引き継ぎが不十分で、Excel ファイルがブラックボックス化
アクセシビリティ ・複数部署の Excel ファイルを 1 つに集約するのに、苦労している
・Excel ファイル更新・確認の都度、メールや電話をしている
パフォーマンス ・Excel ファイルが肥大化し、処理に時間がかかっている
内部統制 ・細かいアクセス管理や権限設定ができない

上記のサインが 1 つ以上当てはまるかつ業務に支障が生じている場合は、Excel 管理・運用の脱却を検討すべきタイミングです。

Excel 管理・運用における早期の問題発見のキッカケにしてみてください。

この記事を書いた人

入田 隆
入田 隆代表取締役 CEO

2016 年に旭化成株式会社に入社し、原料管理のシステムエンジニアとして従事。2019 年に株式会社キカガクに入社し、新規事業のソフトウェアエンジニア兼 C 向けコンテンツマーケティング責任者を担当。2024 年に、株式会社ファンムーブを設立。上場企業からスタートアップまで幅広く DX を支援している。

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